展示委員会 委員インタビュー
東洋エンジニアリング株式会社

東洋エンジニアリング株式会社Interview

東洋エンジニアリング株式会社

執行役員 エンジニアリング・技術統括本部 本部長代行 次世代技術開拓部 部長富永 賢一 氏

共創が未来を創る:INCHEMで広がる技術とアイデアの交差点

A-①
次世代技術開拓部は2019年に設置されました。その翌年2020年10月、日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
御社をはじめとするエンジニアリング会社への期待がますます高まっているのではないでしょうか。
富永氏 コメント

はい、そのように感じております。そして、期待に応えることこそがエンジニアリング企業の存在意義であると考えています。
私たちの強みは、個々の要素技術を統合し進化させ、社会システムとして実装する能力にあります。このコアコンピタンスを活かし、社会課題の解決に取り組んでいます。

A-②
特にどのような分野で御社の技術力が発揮されるとお考えでしょうか。
富永氏 コメント
現在、例えば独自技術を持つメタノール合成プロセスでは、高温高圧の合成反応器設計をプロセスとメカニカルエンジニアリングをコア技術としており、当社の蓄積した技術資産を活かせる分野です。CO2を起点としたe-Methanolはクリーン素材と燃料の両利きプラットフォームとして期待されています。
また、メタノールからガソリン、航空燃料、オレフィンへ展開可能なプロセスを組み合わせ、再エネ設備を含む生産設備を設計し社会実装を進めています。これは社会システムの設計そのもので、当社の総合エンジニアリング力が発揮される分野です。さらに、アンモニアと石油化学の分野では、次世代アンモニア低圧合成技術、エチレン分解炉のアンモニア燃料転換、プラスチックのケミカルリサイクル技術開発にも注力しています
A-③
抽象的な質問ですが、技術開発を成功に導くために大切なことは何でしょうか。
富永氏 コメント
現在の技術開発は、複数の企業がチームで取り組む共創の時代です。優れた技術があっても、死の谷(開発から事業化まで)を乗り越えられない原因は、多くの場合、技術そのものではなく、チーム内各社の戦略の不一致によるビジネス上の課題にあると考えています。重要なのは、各社の目的や役割がチーム全体の目標と整合することです。
A-④
INCHEM TOKYO 2025は統一テーマに「持続可能な未来への共創イノベーション」を掲げています。"共創"の観点で御社が普段取り組まれていることはありますか。
富永氏 コメント
上述の内容にも関連しますが、技術の優劣や市場性も重要である一方、それ以上に大切なのは、共創する相手とのマッチングが適切であるかどうかを普段から丁寧に調査することです。また、調査に留まらず、自社が保有する技術や取り組みたい技術ポートフォリオを外部に発信し、共創の相手に当社を見つけてもらうことも重要と考えています。
そのため、技術IRとして講演やコンファレンスへの積極的な参加を継続的に行っています。
A-⑤
技術開発において、ベンチャー企業やスタートアップとの連携事例はありますか。
富永氏 コメント
次世代のアンモニア合成触媒として期待されている、鉄-ヒドリド触媒の実証に向けて、東京科学大発のスタートアップであるAmmon Fields様と連携しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000107878.html
A-⑥
INCHEM TOKYO 2025の会期には、化学工学会の秋季大会が同時期同地区で開催されます。INCHEM(展示会)にも来場する学側の研究者や学生の方がいらっしゃると思います。学側との交流について期待することを教えてください。
富永氏 コメント
学側の多くの研究者や学生との交流を通じて期待するのは“創発”です。特定のアジェンダに基づく会議ではなく、多様な能力やアイデアを持つ人々との対話を重ねることで、これまで結びつかなかった要素が結びつき、新たな価値やアイデアが生まれる場になると考えています。
A-⑦
以前のINCHEM開催時、御社の出展ブースではプレゼンテーションも行われて、多くの来場者の関心が集まっていました。対面型のイベントのため、ご来場の方から意見や要望が直接伝えられることもあると思います。こうした機会について思うことをお聞かせください。
富永氏 コメント
上述のとおり、関心の薄いテーマであっても多くのブースを回ることで、新たな可能性が生まれる場になると考えています。
また、立ち話は本音のコミュニケーションが生まれやすく、アポイントを取って行う面談とは異なり、大学やスタートアップ、企業の研究者や開発担当者の個人的な思いが直接伝わることがあります。こうした交流は、共創のきっかけとして非常に重要だと考えています。
東洋エンジニアリング株式会社
https://www.toyo-eng.com/jp/ja/
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